Issue 課題
- 閉じられた医療業界の 可能性を開く
- 医療は社会基盤としての側面を持っている。そのため、ビジネスとしての判断を切り離した意思決定を行わざるを得ず、赤字経営に陥ってしまう病院が多いことも事実だ。どの病院も、決して危機感がないわけではない。しかし、こうした病院を取り巻く環境が保守性を生むのか、日本でヘルスケア領域の「オープンイノベーション」が積極的だという話は、あまり耳に入ってこない。国際医療福祉大学・高邦会グループで専務理事を務める高木も、この状況に危機感を持った経営者の一人だ。学生時代に医療情報サイト「メディカルノート」を立ち上げた際、クライアントである医師から冷や水を浴びせられ、ヘルスケアビジネスの障壁の高さを痛感したと言う。異業種からの新規参入の場合、医療現場の知見は喉から手が出るほどほしいもの。医療業界を市場に開放すれば、日本の医療は変わる。その想いは10年後、「IHW Open Innovation」プロジェクトに受け継がれることになる。
アセットはある。
未来にむけて、やるかやらないか。高木学生時代に立ち上げた医療情報サイト「メディカルノート」では外部の協力を得るのが難しく、最終的に国際医療福祉大学・高邦会グループのアセットを活用しました。第一線で活躍するドクターの力を借りられたことはもちろんですが、医療現場の知見を伺いながら「どのようなサービスが刺さるのか」を突き詰められたことが非常に大きかったと思います。すでにアセットはある。あとは、やるかやらないか。「IHW Open Innovation」プロジェクトを立ち上げるまでに時間は必要ありませんでした。

Solution 解決策
- 市場に開放された、イノベーションの揺り籠
- 2020年、国際医療福祉大学・高邦会グループは「IHW Open Innovation」プロジェクトを発表。全国70施設を実証実験フィールドとして提供するだけでなく、超急性期から慢性期までありとあらゆる症状におけるビッグデータを開放。さらには1500名を超える医師、7000名を超えるコメディカルスタッフによる新規事業開発支援もスタートさせた。このニュースはまたたく間に広がり、プロジェクト開始後わずか数ヵ月で大手通信事業者、ITサービス会社、ヘルスケアメーカーとの共同研究・開発が決定。2024年にはプロジェクトを運営する「株式会社IHW Innovation & Consulting」を立ち上げ、現在にいたるまでに20件ほどの実証実験がグループのアセットを活用して実施された。日本のヘルスケアにおける、オープンイノベーションを加速し、日本の医療を変えていく。その波紋は、確実に社会に広がっていた。
すべてがトライアンドエラーの繰り返し。
イノベーションを生み出すための実証実験を。
高崎新規事業開発は、10件のうち1件でも成功すればいいと言われる世界。当社も例外ではなく、実証実験のうちビジネスがローンチにいたったケースも、それほど多いとは言えないかもしれません。マネタイズなどの課題は残されていますが、新たなイノベーションは社会にとって大切な取り組みです。だからこそ、大きな一歩は踏み出せたのではないかと考えています。

Outcome 成果
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国家プロジェクトへの参画
そして、イノベーションの中核へ - これまでの実績もあり、国際医療福祉大学・高邦会グループは、政府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム」のひとつに参画。AIテクノロジーを活用した、医療の在り方そのものを変貌させるほどのインパクトを持つ「国産医療用LLM」の開発を株式会社IHW Innovation& Consultingもサポートしている。同プログラムが見据えるのは、社会実装。そのため医療現場の知見は必要不可欠な存在であり、現在も共同研究パートナーらと密な連携を取りながら仮説・検証を繰り返していると言う。高木が学生時代に描いた構想から始まった、株式会社IHW Innovation & Consulting。国家プロジェクトへの参画。そして、日本のヘルスケアのオープンイノベーションを加速する原動力へ。日本発のヘルスケア領域におけるオープンイノベーションが、アジアの医療に貢献する日も、そう遠い未来ではないのかもしれない。
ヘルスケアDXでも先頭を走る。
日本の、アジアの医療を変えていくために。
高崎IHW Open Innovationでは、国際医療福祉大学・高邦会グループにおける新規事業の芽を生むことも重要な目的のひとつになっています。その観点から言えば、診療業務の生産性向上、レセプトの自動入力といった無限の可能性を持つLLMに関する知見は大きな財産となるはずですし、外部の医療機関にコンサルを行うというマネタイズ手法も視野に入ります。ヘルスケアのオープンイノベーションの先頭を走る。そして、日本の、アジアの医療を変えていく。それが私たちが描く未来です。